私の2月に発売しましたアルバム「すべてを持ち帰れ」は、爆発力こそないもののお陰さまで地味に好セールさせて頂いております。
音楽雑誌のレコードコレクターズとミュージックマガジンに取り上げて頂き紹介されたことは前にも書きましたが、その文章自体は私は勝手に用いてアップさせてはいけないと思い、していませんでした。
しかしせっかく好評して頂いた文章ですのでここに紹介したいと思います。
レコードコレクターズ4月号
「ボブ・ディランの『ブリング・イット・オールバック・ホーム』を模したジャケット。だが聞こえてきたのはそこから想像していた声、歌い方、曲想・・・すべてを気持ちよく裏切る、それでいて紛れもないディランの遺伝子を受け継いだ日本語のロックだった。96年より地元横浜を拠点にアコースティック・デュオで活動開始、その後、小山バンドを結成、ライヴハウスを中心とした演奏活動、自主制作CDを発売・・と地道ながら着実な歩みを続けてきた後にリリースされたのがこの本格的デビュー・アルバムだ。一見か細く、時には気弱に聞こえるものの根底に流れるロックな風情が耳を捉えて離さないヴォーカル。そして歌詞を読まなくてもしっかり芳醸な言葉とメッセージが、誰とも似ていないが今までずっと聴いてきたロックの名曲を彷彿させるメロディ、プログレッシヴな要素は少ないのに疲弊した精神を奮い立たせるサウンドと一体となって、頭と体の両方にしっかりと響く。ロックは死んでなんかいないのだ。・・・・・中村よお」
ミュージックマガジン5月号
「バンド時代などを含めれば横浜や東京を拠点に90年代後半からライヴ活動をしているシンガー・ソングライター、小山政雄(vo,g)は2作目の「すべてを持ち帰れ」(ソウル・キッチンPGHB8052)を発表している。1曲以外は弾き語りを核にしているが、ほとんどの曲はロック・バンド編成で録音し、実に居心地のいい「ロックンロール・アルバム」だ。ボブ・ディラン風の曲調で基本的に泥臭いが、AORも含む70年代のアメリカン・ロックや同時代の日本のシティ・ポップスのテイストも同居。歌ものとしては長めの曲をじっくりつつ”っていて深いのだが、同時にいい意味でさっぱりしているのが魅力である。さりげなくドラマティックなアレンジを施しつつ、演出過剰に陥らず、やさしい喉を飄々と震わせるリラックスした発声のヴォーカルに象徴されるように、すべてがナチュラルでまっすぐだ。歌とピアノだけのしっとりとした曲をはじめとしてストーリーテラーでもあり、鋭い批評性と洞察力が光り示唆に富む歌詞も、わかりやすい中にシニカルなスパイスが効いている。文字情報がシンプルに載った8ページのブックレット封入の約73分11曲入りCD・・・・・行川和彦」
レコードコレクターズの中村ようさん
ミュージックマガジンの行川和彦さん
ありがとうございました。
個人的な感想ですが私は中村ようさんの結びの、「ロックは死んでなんかいないのだ」がたまらなく嬉しかった言葉です。
行川和彦さんの、「実に居心地のいいロックンロールアルバムだ」も非常に嬉しかったです。
それは私が自身で「ロッカー」だとも「ロックンロールアルバムを作るぞ!」とも、一度も思っては来なかったからです。
しかし当然私もロックが大好きです。
それらを聴きそれらを愛しギターを手にし作って来ました。
が、しかし実のところロックとは何なのか私ははっきりとわからないのです。
曲調なのか、楽器なのか、激しさなのか、考え方なのか。
その自分でもよくわからないものを、「僕ロックやってます。」と自ら言うことはできませんでした。
例えばキースリチャーズを見たとき誰でも彼にロックを感じると思います。
あのギターリフを、あのルックスを、あの数々の伝説を見聞きするたびに。
そしてロックは理屈や知識だけじゃわからないのだ、と感じさせます。
しかしよくよく考えると彼がいかに知的で頭のいい人間なのかが見えて来ます。
じゃなきゃ半世紀以上も曲を作り続けて第一線で活躍し生き延びて来れたわけがないのですから。
しかし「そんな面倒くさいのはミックの仕事だ!」と言わんばかりに彼は何も知性を見せません。
本当は勉強家なのに。
だから私はキースリチャーズを本当にかっこいいと思い尊敬します。
いや、実は適当にやって来ただけのラッキーな人かもしれません。
んな訳はありません。
適当に弾いてるように見えるキースのギターを僕が適当に弾いたら、そりゃひどいですよ。
そしてロックとは何か?をまた自問自答していくのです。
やはり感覚的なものかもしれません。
友人と飲みながら朝まで議論するのもいいでしょう。
理屈や知識じゃねぇーよ!と怒られるのもいいかと思います。
その定義のハッキリしないロックを少しでも理解するために、
私は昔からレコードコレクターズとミュージックマガジンを読んで来まし
た。
テキストとし、参考書とし、人の意見を聞き、人の考え方を知ることで、
その実体に近づこうとして来ました。
ですから私にとってその二冊に紹介されたことは本当に嬉しいことでした。